[ビジネスソリューション]ショップレポート カメラのトモミ堂

トモミ堂 店主 田原剛 様

改装で、サービスイメージをお客さまに伝達。技術や付加価値こそが、「商品」です。

地域に根ざした活動が、ロングスパンで実を結ぶ

今回は、店舗改装を機に店舗運営全体を見直し、地域一帯との連携で新しい形の写真店経営スタイルの全体像を模索する京都トモミ堂さまにお話をうかがいました。 地域とともに生きる写真店として必要な活動の「ポイント」をまとめていただきました。

店舗の改装は、地域顧客への強力なアピール

  • 店内の様子
  • お店の外観
  • 喫煙コーナー

京都府南部、大阪寄りの京田辺市。今回おうかがいするトモミ堂さんは、その京田辺市で、36年、親子二代に渡ってカメラ店を続けておられる地元密着店さま。 昨年(2007年)10月に店舗をリニューアルして、新たな営業展開を始められたお店です。

「いままで、学校アルバムなど、地域の同行・出張カメラマンとしての仕事は一手に引き受けてきたのですが、そのカメラマンとしての顔と、この駅前の店舗とが、お客さまの中で結びついていなかったんですね。そこを結びつけるためにも、まず店舗のリニューアルが必要だと言うことで、全面的に改装しました。」と、お話くださったのは、田原剛さん。

「いままでバラバラにやってきたサービスを、キチンとお店の方針として結びつける事が大事だと思うんですよ。若いお母さん層などメインとなるお客さまに対してサービスを用意している事を、店舗を見ただけでわかるようにしたんです。」 店内は確かに明るく清潔なイメージ。それに加えて「店舗内禁煙」というトモミ堂さんならではのアイディアも盛り込まれています。

「端末操作のために、それなりの時間、店舗内に滞留されるわけですから、お子様をお持ちのお母さん層には、タバコの煙は想像以上に嫌われるんです。なので、私自身もタバコをやめましたし、喫煙者の方は外で喫煙いただくようにしたんですよ。」と徹底されています。

「まず、第一印象で、店がどなたにどんなサービスをしようとしているのかが、ちゃんと伝わることが大切です。そうでないと、お店の方向性がお客さまにイメージしてもらえませんから。」とのこと。そんな努力の甲斐もあって、改装後はお客さまの層も変わってきたそうです。

「やはり、若いお母さん層は増えましたね。改装前には、少なかった層です。ただ、そういう新しいお客さまから、質問を受ける中から、はっきりと次の課題が分かってきたんです。 お客さまは、子供が生まれたから、電気屋さんでカメラを買ってくる、でも、どうやって撮ればキレイに撮れるのかわからない。いや、それ以前に画素数とメディア・撮影枚数の関係もわからなくて困ってるお母さん方がいっぱいいるんですよ。まず、これをなんとかしないといけない。」 そう考えた田原さんは、初心者のための写真教室の開催を計画されています。

「絞り、シャッター、撮影チャンスのつかまえ方とか、撮影のコツのような基本的な事をまずお伝えする。そういう、写真店ならではの「付加価値」を、まずアピールして知っていただきたいって思うんですよ。お客さまには提案しないと伝わりませんからね。こちらから『伝えていく』という姿勢が大事だと思います。」 と、お店からのアピールの大切さを強調されていました。

写真店ならではの技術・付加価値が大切

「これからは写真店としての存在価値を、キチンとアピールしていかなければいけないと思うんですよ。最近で言うと、カメラは電気屋さんが大量に売っているし、大量プリントはドラッグストアなどが伸びてるわけですね。じゃあ、街の写真屋はいったい何を売ればいいのか?と言えば、技術や付加価値なんです。そういう本質的なモノを売らなければいけないなと実感していますね。」 と、マーケットの現状分析は厳密です。

「先ほどの写真教室でも、『プリントのペーパー裏の数値を見れば、その写真が写真店で最適化して加工したかどうかわかりますよ』と、写真店ならではの加工技術や気配りについてアピールしようと考えてるんです。そういう、写真店だからできる技術そのものが、お客さまには新鮮で役立つ情報になるはずですから。」と、アピールポイントの実例をお話しくださいました。

「たとえば、証明写真ひとつ取っても、実際の細かなルールをご存知の方は意外に少ないと思うんです。たとえばパスポートなどは写真の審査がとても厳しくて、顔の大きさは、頭頂部からあごまでで、32mm~36mmという規定があったりします。また、うちの店は近くに同志社大学の京田辺キャンパスがあるんですが、そういう学生だと履歴書用の写真を頼みにくるわけです。履歴書の写真は、第一印象で、その学生の一生が変わってしまう大切なものですよね。だからこそ証明写真こそ、写真店で撮るのがベストなんだと知っていただきたいですし、こういうアピールもしてるんですよ。」 と、店の奥から名刺サイズのカードを取り出して来ました。

  • 名刺型のCD この中に証明写真のデータを納める

「これは名刺型のCDなんですよ。証明写真のデータは、基本的にこのCDに焼き込んでお渡ししています。携帯に便利で学生証や各種会員カードなどと一緒に管理できて便利なようにしてるんです。」 まさに、一枚の写真の大切さを、お客さまに伝えるサービスです。

「写真はデジタルカメラの登場で、シャッター数は増えましたが、大切な『この1枚』は技術のある写真店でプリントしていただけるようにしないといけません。たとえば、結婚するかわからない、恋人同士の写真なら、ドラッグストアさんでプリントしてもいい。でも、人生の大切なひとコマ、結婚式の写真ならトモミ堂でプリントすると。そこが大切です。その『大切な一枚』を残すことが付加価値にもつながるんです。」

新たな商材開発に力をいれて

そんな「大切な一枚」を、いかに多様な商材へと展開していくかが、トモミ堂さんの課題です。 「当店では、通常メニューに『スナップ写真販売』というものを設定しています。これは、学校行事でのスナップ写真を、ネットで直接販売する仕組みなんですね。いままでは、学校を通じて販売していたわけですが、セキュリティのしっかりしたネットサービスを利用して、個人の方からの行事スナップの注文を、ネットで受け付けているんです。」と、新しいサービスの立ち上げに意欲を示しておられます。

「幼稚園や小学校、中学校と、いくつもの学校行事に同行・出張撮影をしていますが、この仕組みがあれば、個人の方がID番号を入れれば、該当する行事の写真を一覧して、欲しい写真だけを、ご家庭で注文いただけます。受付も簡単ですし、学校を通さずにアプローチできるので、注文も取りやすいんです。店頭で写真のお受け渡しもできますし、いままでバラバラだった当店のサービスが融合していけるな、と考えています。」お店の経営戦略のグランドデザインへと話はつながっていきます。

  • 写真加工の商材開発
  • 油右衛門 写真を加工してまるで油絵のように(1)
  • 油右衛門 写真を加工してまるで油絵のように(2)

「お客さまにとっては、大切な人生の一コマこそが大切なんです。だから、入り口は、デジタルプリントでも、スナップ写真の購入でも良いのですが、それらの写真が『ほんとうに大切な一枚』であれば、『写真加工』などの、高品質な商材へとつながって行くんですね。なので、そういう写真加工の商材開発には力を入れてるんです。」具体的には? とお聞きすると、 「まず、このスナップ写真販売と連動してアプローチしようと思っているのが、音楽入りスライドショー販売ですね。複数の写真を選んでいただいてDVDに落とし込み、ご家庭のTVで、臨場感たっぷりにご覧いただくわけです。結婚式での活用など、潜在ニーズはかなり大きいなと考えています。」と今後に期待できる商材を教えてくださいました。

このほかにもトモミ堂さんでは、お気に入りの一枚を、絵画調に加工する『油右衛門(あぶらえもん)』というサービスを用意されていました。写真を絵画調に仕上げて、表面に筆跡や手触り感の加工までしたもので、仕上がりはまさに油絵のような質感です。

「それに、改装を機に、ノーリツさんの最新の機械に変えたましたから、ロングプリントをはじめ、ミニラボ機で、できる機能は全部お客さまにお伝えしたいですね。お客さま特性を見て、良い写真に、額装を提案して差し上げると、とても喜んでいただけます。このあたりこそ、写真店の『付加価値』の部分ではないでしょうか。」

地域に根ざした活動が、ロングスパンで実を結ぶ

「『恋人同士の写真』ではなくて、『結婚写真』を大切に、という考え方は、写真店が地域に根ざした商売だからなんです。」とおっしゃる田原さん。「結局、街の写真店は、地域の人のライフサイクルを、ずっと見続けている事になるんですよ。たとえば、結婚式の写真をプリントいただいたり、その後に新婚旅行の写真のプリントがあって、その後子供さんが生まれる。お店に来ていただいていれば、当然、お宮参りや七五三の撮影をお勧めできますし、その後は入学式以降、学校行事はうちの店で撮るわけです。まさに、数年ごとに起きる、ご家族の大切なイベントをずっと追いかけているという事なんですね。」と地域の方々のライフサイクルをじっくり見据える事の大切さを強調されます。

「お客さま特性は、店舗運営に大きく影響しますから、地域の事情をよくわかっておかなければいけません。たとえば、七五三の写真撮影にしても、近年では衣装レンタルを充実させたサービスが話題ですが、当店では衣装の用意はしていないんです。それは、この地域のお客さまが、自前のお着物にこだわりを持っておられるからなんです。まさに京都という土地柄でしょうね。各お家で、お子様のお召し物をちゃんと持っておられるんですよ。そういう地域特性を、いかにつかまえているか、という事が店舗運営の大切な判断基準になるんではないでしょうか。」

実際、田原さんは、新田辺東商店街の若手経営者が集まるevo&revo[エボレボ]という活動にも積極的に参加されています。「お店一店舗だけが努力するのではなくて、地域全体が活性化しないと、大きなうねりになりませんからね。たとえば、商店街の空き店舗になった空間をギャラリーとして提供する活動をしているのですが、その運営ノウハウなどは、仕事柄良く分かっているので提供しています。しかし、あくまで、地域の活性化がテーマですから、あまり表に出ない形がいいですね。地域全体が盛り上がっていくことが大切ですから。」と、あくまで縁の下の力持ちを目指しているとのこと。

  • 商店街の空き店舗になった空間をギャラリーに

「しかし、同業の方の話を聞きますと、写真店が地域振興の中心になることは多いようです。写真店や写真撮影という仕事そのものが、もともと地域密着型の仕事だからこそなんでしょう。地域の名士と言われる方や中心人物を撮影したりすることもありますし、地域イベントと売り上げが連動したりしますから、つながりが広がるという事が多いのかも知れません。写真店は、地域をまとめる役割を、積極的に担っていった方が良いのかも知れませんね。」と、おっしゃる田原さん。これからの写真店の目指すべき方向が実感できた一日でした。

掲載日(2008年12月)

カメラのトモミ堂様

〒610-0361 京都府京田辺市河原食田10-48
TEL 0774-62-5548

ホームページ
http://www.tomomido.com
メールアドレス
net@tomomido.com

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