

某ラボを脱サラして、お店を構えたのが22年前。現在の店舗は、近くから移って、3年目になる。これを契機に、スタジオも完備した兼業店として再スタートした。子息でプロカメラマンである田中寿治氏が東京から戻ってきたこともあり、撮影業務にも力が入った。出張撮影も、寿治氏が戻ってからは、本格的に行うようになった。
ミニラボは、「以前は2年に1度の割合で買い替えていた」(田中博社長)という時代もあるが、結局QSS-29型に落ち着いた。このミニラボは、業界では“名機”で通っている秀逸な処理機器だ。従って願わくは、そのまま使い続けたいミニラボだった。
ところが、時代も変わり、維持することが難しくなり始め、ついには悲鳴を上げてしまったのだ。つまり、「今まで聴いたこともないような音がして、壊れた」。
こうなることは、予想していたことだが、「29型に代わるものはないと思っていた」し、その後継機選びは頭をいためてきたというのが現実だった。こうした中で、気になっていたミニラボが、「D1005」だった。そして、これまで長年使い続けてきた「QSS-29型」の故障を機に、2010年の7月に「D1005」を導入。1ヶ月弱が経過した。
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田中社長が「D1005」と出会ったのは、2010年東京ビックサイトで行われたPHOTO NEXT のノーリツ鋼機のブースに立ち寄った時。QSS-29型のメンテナンス契約の終了時期が迫る、あるいは保守の限界も見えている中で、次なるミニラボをどうするかを考えているところでもあった。
これまで、新しい機器を選ぶ際には、色々なシチュエーションの画像データを持っていって実際にプリントして試すことにしていた。今回も同様にテスト用のデータを持参した。 あらかじめ銀塩で焼いた同じカットも持参した。そして比べてみる。「見た瞬間、これはいけるな、と思った」と田中社長。ピンと来るものがあった。
田中社長は、大の29型ファン。したがって、この機器で焼いたプリントが大きな基準であった。ところが、「D1005」のプリントは、それに匹敵あるいはそれをも上回る魅力が潜んでいた。「29型のプリントの持つ軟らかさに加え、デジタルならではの鮮やかさがある。これはいい」と思った。「写真は見た瞬間で決まるが、これはいいと」。
「銀塩へのこだわりをどこまで持つかが問題ですが、同業者の皆さん、それぞれにこだわりを持っている。ドライミニラボに替えたいのだが、抵抗があって、乗り越えられない壁のようなものがある」のは事実だ。しかしながら「D1005は、意外に立体感があり、深みもある」ことがわかった。「それは、ルーペを持ってきて、細かく見ればドットが出ていたりしますが、そこまで細かく見る必要があるかどうか。雰囲気をみるという方がただしいと思います」
同店にはハイアマが多く訪れるし、クリスタルプリントもわざわざペーパーを海外から輸入してメニューに加えてきた。それくらい銀塩プリントにはこだわってきた。
そういう方向性を持つおみせではあるが、「D1005」を選択した。
「私同様に29型を持つオーナーの方にD1005の良さをお話しすると、こっちにすると言う人が多い。半切や四切はこちらの方がきれいです。つまりこれからはこちらの方がいいと言うことになります」と評価する。
また、「これまでインクジェットをバカにしていましたが、すごく良くなってきていると思います。お客さんもこちらのプリントの方がいい、と言う人が多い。その感覚を私たちも持たなくてはならないでしょう」と、ユーザーの嗜好の変化にも眼を向ける必要がある
D1005の選択は、「時代はそちら(インクジェット方式のミニラボ)の方向に向かっている」ということも大きな要因としてある。 QSS-29型に比べて、設置スペースははるかに小さい。その空いたスペースを利用して、NPB-1を中心に、フォトブックノ製作用スペースとした。
1ヶ月経って、「システムの使いこなしにもようやくめどがたってきた」と田中社長は語る。「フォトブックがつくれるので、便利につかっている」とD1005の特性を生かした商売が動き出した。「フォトブックは、結構反響があって、長年写真をやっている人が個人で写真を作りたいと60冊も注文した人がいた」と、流れがでてきている。そして「フォトブックは結構需要がある」というのが実感だ。
もともと、ビッグ28というお店では、いろいろな付加価値商品を開発してきた。そして実は、フォトブックと言う言葉が広まる前から自作でアルバムの作成もしてきた。
したがって、今回のミニラボの選択肢は、決して間違ってはいないし、まさに的を射た選択といえる。「QSS-29型の時からフォトブックは作ってきました」と、銀塩ペーパーを張り合わせて、手作りでやってきた。ポストカードも内製化してきたので、貼り付けの技術は培われていた。その応用で、断裁や折などを工夫しながら、フォトブックも作った。 今回、その流れが完全に受け継がれ、さらに進化した形で展開することとなったのだ。
フォトブックの納期は、基本的には即時を考えている。遅くとも翌日には受け取ることができる体制にしている。
「ノーリツさんの製本システムは便利に使えて、慣れてしまえば即日仕上げも対応できる」と田中社長。
明日の商売への強力な武器として機能していくことが感じられた。
写真業界専門誌 月刊 『PiCCeSS』 2010.9号 掲載記事より












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